合併症が怖い生活習慣病は増加傾向にありますが、その看護にあたる慢性疾患看護専門看護師の役割や仕事内容とは、他の看護職とどのような違いが見られるのでしょうか。
生活習慣病の増加で需要が高まる慢性疾患看護専門看護師
慢性疾患はその名の通り「じわじわと進行していき治りにくい疾患のこと」を指しますが、中でも特に多いのが急速に増えつつある生活習慣病です。
生活習慣病とは、日々の生活習慣(食習慣、運動習慣、喫煙、飲酒など)の積み重ねによって発症する病気の総称で、日本人の約3分の2が、この生活習慣病で死亡していると言われているたいへん危険な疾患です。
生活習慣病にはいろいろな種類がありますが、予防に気をつけたいのが高脂血症・高血圧・糖尿病。
いずれも食生活と大きく関わっているもので、食べ過ぎや運動不足の方は特に注意が必要となります。
このような生活習慣病に代表される慢性疾患は、入退院を繰り返すことが特徴で患者の体だけでなく心にも負担がのしかかってしまう怖い病気。
看護師も患者の生活環境などを十分に理解した上でケアしなくてはいけません。疾患が生活習慣病の場合は、生活の改善の指導や回復に向けてのプラン作りの提案も慢性疾患看護専門看護師の仕事です。
また、運動面のサポートも必要不可欠です。患者の病気の進行度や状態にもよりますが、特に糖尿病は食生活の見直しだけでなく積極的に運動したいところです。
糖尿病に限らず、その他の慢性疾患においても体力をつけておくことは慢性病治療には大切なこと。
生活習慣病では、その予防も看護師の仕事の一環です。
ここで、日本看護系大学協議会の慢性疾患看護専門看護師の役割とその教育目標を紹介します。
- 患者とその家族の健康や生活への影響、それに対する療養の行動などを理解して、その予防と管理ができる。
- 慢性疾患の病態生理を理解し患者の発病から死までの変化を、心理社会的な側面からも見つめ看護支援が行える。
- 慢性病を持っていても充実した生活を送るという点に重きを置き、身体的心理社会的な対処能力を高められる。
- 専門知識や技術の向上を図り、看護活動への研究活動にも参加、支援が行える。
- 医学的な介入が必要である治療への効果を判断し、言語的なコミュニケーションが難しい患者の苦痛を推測できる。
- 継続中の治療や処置を妨げず、必要なケアが行え患者の痛みを緩和できる。
- 道徳的な価値の対立をその状況に応じて理解し、患者や家族が最善の選択を行えるよう援助できる。
- 特殊な治療を行っている患者の心身のストレスに対応ができる。
- 看護が必要な人の人権擁護について発言し、最適な医療を提供できるよう改善の努力が行える。
生活習慣病以外の慢性疾患は、呼吸器疾患・がん・肝臓疾患などがあります。
いずれも長期間患う病気で、短期間のようにも思える禁煙支援も成功までには長くかかる場合もあります。
(禁煙支援は慢性疾患治療に分類されています)
慢性的な疾患でありがちなのが、長期的になるにつれ患者の病気に対する姿勢が弱くなってしまうこと。
特に年配の方は、長く続けてきた習慣を改めるのには時間がかかることがあります。
担当範囲が広い上に、それらに対し専門的な知識が求められるため慢性疾患看護専門看護師の勉強は非常に厳しいものがありますが、今後も進み続ける高齢化社会では増加傾向も考えられますので、慢性疾患看護専門看護師は需要の高い仕事であることに間違いはありません。
これからの時代に大活躍する職業となりそうです。